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十分甘えた子は しっかり自立します(前編)

「うちの子は甘えん坊で…」「いつまで甘えさせていいの?」「甘えていても自立できる?」。子どものためを思えばこそ、甘えさせることについての悩みや疑問がわいてきます。子どもにとって「甘え」とはどのような意味があるのでしょうか?甘えることの大切さと上手な受け止め方を『子育てハッピーアドバイス』シリーズ著者の明橋大二さんに伺いました。今回は、「十分甘えた子はしっかり自立します」の前編です。

精神科医
明橋大二さん
1959年、大阪府生まれ。京都大学医学部卒業。真生会富山病院心療内科部長、児童相談所嘱託医、スクールカウンセラー、NPO法人子どもの権利支援センターぱれっと理事長。専門は精神病理学、児童思春期精神医療。『子育てハッピーアドバイス』シリーズ(1万年堂出版)は、450万部を超えるベストセラーになっている。

子どもの心の成長に「甘え」は不可欠

子どもを育てるときに一番大事なのは「愛情」だという親御さんは多いですね。もちろん愛情は大事なのですが、その愛情を子どもに伝えようとするとき、受け取る子どもの側にもなくてはならない必要な条件があります。それは子どもから大人に向けて、愛情を求めるアクションがあるということ。これが「甘え」です。子どもの側から、甘えるというアクションがあり、それを受け入れることによって親は愛情をスムーズに伝えられ、子どもは親の愛情を確認できるのです。

このように「愛情」と「甘え」は車の両輪のようなもので、「愛情」を大事にしたいなら、当然「甘え」も大事にする必要があります。子どもは、甘えを受け止めてもらい満たされたときに、自分は愛されていると感じ、大切にされていると感じる。そしてそれは大切にされるだけの価値が自分にあるからだと考える。つまり「自己肯定感」が育つもとになります。

この「自己肯定感」は、現代の子育てや教育を語る上で、最も大切なキーワードです。「私は大切な人間だ」「生きている価値があるんだ」「私は私のままでいいんだ」と思える感覚で、しつけや学力などが身につくための土台となります。このように子どもが育つ上でたいへん重要な「自己肯定感」を獲得するために、「甘え」が大きな役割を果たしているということからも、子どもの心の成長にとって「甘え」がいかに必要かが見えてくるのではないでしょうか。